マットレスのカビは想像以上に危険。健康への悪影響を防ぐ対策とは?

「カビは見た目が不潔だから、とりあえず人目につく箇所だけキレイにしておこう」といった程度の対処でとどめている方も多いのではないでしょうか。確かに、家の隅々までカビ対策をするのは大変です。しかし、一般家庭の屋内には、健康を脅かすカビがすみ着く可能性もあるのです。その名は、アスペルギルス・フミガタス(以下、アスペルギルス)。たかがカビ、と軽んじるのは禁物です。このカビは、私たちのリラックスタイムに欠かせないマットレスにも多く潜む傾向があるからです。

今回は、マットレスについて考えるときに欠かせないカビへの対策について考えてみましょう。

重度のアレルギーを引き起こすカビは、寝室が大好き!?

ひと口にカビと言っても、その種類はさまざまです。ブルーチーズに含まれる青カビのように食べられるものもあれば、毒性を持つものもあります。毒性のカビのひとつであるアスペルギルスは、ホコリの中や湿気のある場所にすみ着き、空気中にも浮遊するタイプです。人によって吸い込むとアレルギー反応を起こし、軽い咳や微熱、さらに症状が進行すると気管支炎や肺炎、最悪なケースだと生死を分ける症状にまで進行することもあるそうです。

「たかがカビで、病気に?」といぶかしむこともあるでしょうが、実際に症例は出ています。気管支炎や肺炎にまで進行した“アレルギー性気管支肺アスペルギルス症”(以下、アスペルギルス症)にかかっている患者は国内で20万人と推測する医師もいます(出典:日経Gooday 30+『梅雨時のせきやたん、原因は「ホコリに潜むカビ」かも 』)。また、カビが原因で死亡する人は年間約1000人で、そのうちの約半分がアスペルギルスによって亡くなっていると警鐘を鳴らす医師もいるほどです(出典:YOMIURI ONLINE『深層プラス for yomiDr.』)。

アスペルギルスは、ホコリがたまっているエアコン、掃除機、押入れの中などさまざまな場所に生息しますが、特に気を付けたいのは寝室です。私たちは毎日6~8時間、寝室で過ごしています。滞在時間が長い場所では、おのずとカビを吸い込むリスクが高まっていると考えましょう。

お風呂のカビより寝具のカビに気を付ける

カビを目にするスポットとして、私たちがまず思いつくのは、お風呂や台所などの水回りではないでしょうか。黒色や赤色で粘着質なそれらは視覚的にも印象が強いため、カビ除去スプレーなどで定期的に除去し、対策として換気をする方がほとんどでしょう。しかし、1日6時間以上、お風呂や台所で過ごす方は少ないと思います。滞在時間の観点で見ると、カビ対策の優先順位は水回りより寝室の方を高めるべきだとも言えます。シーツの下に潜むカビは、洗濯のときを除いて視界に入りません。それゆえ、ついカビ対策が後手に回っているという方も多いのではないでしょうか。

築浅の住宅ほど、カビ増殖のリスクが高まっている

アスペルギルスを含めたカビは、空中浮遊性があり、どこにでもたどり着く性質を持っています。家庭内でも、1立方メートルあたり1000個のカビが浮遊している可能性があると指摘する医師もいます(出典:日経トレンディネット『気密性高い家こそカビ増殖? 千葉大教授に対策を聞く』)。ただし、古い木造建築のような建物であれば密閉性が低く外気との温度差が少ない、つまり風通しが良いため、空気中のカビ含有は屋外と変わらなくなる傾向があるそうです。

一方、気を付けたいのは、気密性の高い住宅です。特に築浅の住宅は、部屋の気密性を高めている構造が多く、おのずとカビが部屋にとどまりやすい環境になります。エアコンの電気代節約で部屋を密閉し続けている習慣がある場合は、カビ増殖リスクが高まっている状態かもしれません。

アスペルギルス症のリスクをチェック!

冒頭からアスペルギルス症への注意を促しましたが、具体的にはどんなリスクがあるのでしょうか。初期症状から見ていきましょう。アレルゲンであるアスペルギルスを吸い込み続けると、最初に気管支粘膜の炎症、さらに進行すると気管支や肺の機能にまで悪影響を及ぼす可能性があるそうです。これらの症状は、体質として喘息のようなアレルギー症状を持っている方、免疫力が極端に落ちている方が悪化しやすいとされています。ただし、ここで重要なのは、これらの症状が風邪や喘息と似通っているということです。

痰や咳が出る、呼吸に障害が出るといった症状が起きたとき、人はまず「風邪かな?」と思うのではないでしょうか。アレルギーを持っている方は「喘息の症状が悪化したのかもしれない」と疑念を抱くかもしれません。そこがアスペルギルス症のリスクです。初めてアレルギーを発症した患者は当然としておろか、医師でさえ風邪や喘息とみなす可能性が少なからずあるのです。

本人、医師共に、症状への認識ができず、気付いたらアスペルギルス症になっていた、振り返れば7~8年前から症状が出ていたということが判明した、という事例もあるそうです。「軽い症状だと思っていたら、いつしか深刻な状態になってしまった」といった状況は絶対に避けなければなりません。アスペルギルス症の怖さは、他の軽微な病気の症状と似ているので見分けにくい点にあります。

カビは、ホコリと高湿度で大繁殖。連鎖的にダニも増加

前述の通りアスペルギルスは、ホコリの中や湿気のある場所を好む傾向があります。ホコリの中には人間の皮脂、手あか、汗をはじめとした有機物がふんだんに含まれており、それらは彼らの貴重な栄養源となります。さらにそこが高湿度であると、その場所は彼らにとって理想の地と化します。カビも生物です。食事と水分を供給し続ける環境は、自然と彼らの繁殖地となる可能性が高まります。

ここで寝室の環境に目を向けましょう。普段、目につかないベッドの下は、ついつい掃除を怠り、ホコリがたまりがちなスポットとなっています。さらに無視できないのが湿度です。人は睡眠時に約200ミリリットルもの汗をかきます。おのずとマットレスの中、ベッドの下の湿度は高まります。温度20~35度、湿度70%超の環境は、カビの栄養源の宝庫と言われており、寝室はカビにとって絶好のすみかとなる可能性があります。

それだけでは終わりません。カビは、同様に強力なアレルゲンであるダニの餌になることもあります。湿度の高い寝室にはカビの繁殖と連鎖的にダニも増える傾向があり、寝具のダニアレルゲン量は、じゅうたんの実に10倍という調査結果もあるほどです(出典:東京都福祉保健局「住まいの中のアレルゲン対策」(PDF)

寝具を放置しておくとカビが生え、それを餌とするダニが増える……。具体的な対策を施さないと、寝具は負のスパイラルに陥ってしまう可能性があります。

寝室のカビ対策は、「風通し改善」と、小まめな「掃除&洗濯」

それでは、アレルゲンであるカビとダニの寝室への侵入を防ぐ具体策を見てみましょう。実は、対策自体はとてもシンプルです。しかし、やるべきことは多いといえます。

まず、常に寝室の風通しを良くし、室内湿度を常時60%以下にすることを心掛けてください。布団を干す際には、10:00~15:00の時間帯に片面ずつ1~2時間ほど日に当てて、夕方に湿気が上がる前に取り込みましょう(出典:ダニ・カビの温床…夏の寝具「正解お手入れ」)。重いマットレスはベランダや庭に干すのはひと苦労であるため、ベッドの上に立てかけて風通しを良くする方法でも多少の効果があります。さらに週に1回以上掃除機をかける、カバーやシーツを小まめに洗濯するなど、このように項目を挙げるのは簡単ですが、多忙な日々のなか、すべてを実行するのは困難といえるでしょう。

上記のような対策を持続していく自信のない方は、“カビ対策のしやすいマットレスを選ぶ”という選択肢もあります。一例として、「komore」の仕様をご紹介しましょう。「komore」のマットレス上部は、マットレス内の空気の出入りがスムーズで、熱や湿気がこもりにくいオープンセル状フォームを採用しています。さらに、アレルギーを防ぐマイクロアルミニウムと、涼しく爽やかな寝心地を与えるサーマジェルが施されているため、カビの餌となる寝汗をかきにくい仕様です。また、ニットカバーは、通気性に優れたプレミアムアメリカン繊維。取り外しも簡単で気軽に洗濯ができ、いつでも清潔な状態を維持できます。

寝具のカビ対策の大原則は “湿気やホコリをためない”こと。重要なポイントはそれを“持続する”ことです。しかし、「その持続が難しい」と思う方も多いのではないでしょうか。それならば、湿度や熱気がこもりにくく、衛生環境の維持が容易なマットレスを活用するのも一考です。健康的な睡眠環境を実現するには、効率的な対策を選択するのが一番の近道であり、王道なのかもしれませんね。